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近年、日本における「健康経営」への注目はますます広がっています。
「健康経営」は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実行する経営手法のことをさします。
ここには、従業員の健康増進にかかる支出をコストではなく、健康投資として捉えることが重要です。
かつて健康管理は従業員個人がすべきことと考えらえていましたが、企業が対応すべきと考えられるようになってきた背景や、企業がすべき対策について解説します。
健康経営に関するコンテンツはこちら:企業経営にも有効な「健康経営」とは
従業員の健康管理を、会社が対策すべき理由
まず、企業はなぜ従業員の健康管理をしなければならないのでしょうか。
企業が従業員の健康を守ることは、法律で義務付けられています。
労働契約法第5条では労働者に対する「安全配慮義務」が示されており、労働安全衛生法第7章では「健康の保持促進のために行うべき措置」が規定されています。
このように企業は、法律的に従業員の健康管理をしなければならないのです。
しかし近年「健康経営」という取り組みによって、従業員の健康管理を「義務」という視点ではなく、「企業の投資である」という視点に切り替える動きが広まっています。
それでは、企業が積極的に従業員の健康管理を扱いはじめた理由を、いくつか紹介しましょう。
増えるうつ病疾患を対策するために
近年、うつ病による休職や退職というケースが増えてきています。
厚生労働省「患者調査」によると、2002年に69万人だった気分障害(うつ病・躁うつ病など)の患者数は、2020年には172万人と2.5倍に増加しています。そして年代別で見ると、働き盛りの40~50代の患者数が最も多くなっているのです。
気分障害(うつ病・躁うつ病など)の年代別患者数
※厚生労働省「患者調査(2020年)」より作成
近年は労働環境において、ストレスなく快適に業務を遂行できる環境を整えることが求められています。誰もが安心して自分の意見を発信しやすい企業文化を作るような取り組みも「心理的安全性」という言葉で表現されて推進されるようになりました。
また、2015年の「労働安全衛生法」の改正により、従業員50人以上の職場では年に1回以上のストレスチェックが義務付けられました。このように、企業が業務上からくるストレスを把握し、そして対策することが必要とされる時代となってきているのです。
感染症対策は、企業判断が重要な時代に
また感染症対策は、企業の判断が社内感染防止に大きく影響する時代になりました。
猛威となった新型コロナウイルスは、政府が緊急事態宣言を発出して出勤などの外出が制限される事態となりました。それに伴い、企業でもテレワークの導入やマスクの着用、手指消毒や検温をはじめ座席にアクリル板を立てる、店舗を休業するといった対応が進みました。
対策ができていないと社内感染のリスクが大きくなるため、感染症対策は経営的にも対応が優先される事項になり、感染症対策はコストというよりも「感染被害を防止するための投資」となったのではないでしょうか。
高齢者従業員の健康対策は必須に
また採用難の現代では、高齢者従業員の活躍は重要な労働力となります。
高齢者が元気に働ける環境を構築することは、企業には必須の取り組みとなっています。
我が国では、少子高齢化による生産人口の減少が問題となっています。
若い労働者が不足すると、注目されるのが「高齢者従業員の活用」です。日本国内では、2025年4月からすべての企業で定年退職を65歳にすることが義務付けられます。現在でも運輸や建築などの業界では、従業員の高齢化が進行していますが、今後は業界を問わずに従業員の高齢化が進んでいくことになるのです。
しかし従業員不足の状況下で、高齢の従業員が長期入院となれば、誰かがサポートせざるを得ない状況となり、生産性が低下することにつながります。高齢になるほど健康に不調をきたしやすくなるため、高齢者でも健康で快適に働ける職場環境の整備が重要視されているのです。
従業員が重大疾患になったら?
ただ、疾患を発症するのは高齢者とは限りません。
職場の誰もが、疾患を発症する可能性はあるのです。従業員が重大疾患になったらどうなるのか、少し考えてみましょう。
たとえば、プロジェクトの中で社内の各部署との調整を行っている担当者が長期入院となった場合、以下のような影響が考えられます。
情報の欠落と共有不足
担当者が不在になると、プロジェクトの重要な情報や進捗状況の伝達が欠落する可能性がでてきます。チームメンバーに情報が共有されなければ、ミスや事故が発生する可能性が高まります。
意思決定の遅れ
プロジェクトの状況が関係部署へ伝わらず、関係部署からも意見が届かなくなると、意思決定プロセスに遅れをもたらす可能性がでてきます。
チーム全体のストレスの増加
担当者の不在により、新任や兼任者が調整役を担当すると、これまでの人間関係で聞こえてきたような情報が届きにくくなる可能性があります。そのため、新担当者が業務に慣れるまでは、チーム全体のストレスが増加する可能性があります。
スケジュールの遅延
関係部署との情報共有がうまくいかなくなると、さまざまなタスクの進行が遅延する可能性が高くなります。細かなタスクの遅延が重なれば、プロジェクト全体のスケジュール遅延につながります。
ステークホルダーへの影響
社内状況の把握が難しくなれば、外部のステークホルダーとの情報共有にも支障がでてくることが懸念されます。ステークホルダーとの連携が不足すると、プロジェクトの遂行に影響を与える可能性がでてきます。
疾病の中でも合併症の発症が考えられる疾患になった場合は、治療が長期化する可能性が高まります。たとえば糖尿病は、重症化すると脳梗塞や心筋梗塞、がん、認知症、神経障害、失明、壊疽といった合併症の危険が高まります。また合併症で、腎臓の機能が低下する「糖尿病性腎症」を発症すると、人工透析を受け続ける必要が出てきます。
そうなると、治療も長期化することから、担当をサポートする人員が追加で必要になる可能性が高くなってきます。だからこそ「従業員の健康管理」は、企業にとって非常に重要なものなのです。
従業員の健康管理に必要な基本の7項目
では企業は具体的に、従業員の健康管理をどのように行えばよいのでしょうか。
従業員の健康管理で基本とされる7項目を紹介します。
長時間労働の是正
まずは労働時間管理からはじめましょう。
厚生労働省では、時間外労働が月に100時間、もしくは半年間で平均月80時間を超えてくると健康に悪影響を及ぼすリスクが高まると示しています。残業が多い部門を把握、残業せざるを得なくなる要因を探して、対策しましょう。
健康診断の実施
労働安全衛生法第66条でも定められていますが、健康診断の受診状況は必ず確認してください。健康診断実施後は、従業員への通知と労働基準監督署への報告を行うとともに、再検査等の受診を徹底しましょう。健康状態が心配な従業員に関しては、必要に応じて医師からの意見をヒアリングして、作業の転換や労働時間の短縮などの適切な措置や保健指導などの対応を検討する場合もあります。
ストレスチェック/カウンセリングの実施
2015年の労働安全衛生法の改正により、従業員50人以上の職場では年に1回以上のストレスチェックが義務付けられました。ストレスチェックは、従業員が自らアンケートに回答する形で行います。従業員数50人未満の場合は努力義務となっていますが、できる限り実施することが推奨されています。ストレス感度の高い従業員に対しては、保健師などの専門スタッフがカウンセリングを実施するといいでしょう。
職場環境の整備
出社して業務を行う従業員は、一日8時間といった規定時間を社内で過ごします。
仕事に集中できる静かさや明るさ、空調の温度管理や換気などが不足していると、ストレスや感染症の社内感染といったリスクが出てきます。職場環境の整備では、休憩時間にリラックスできる休憩場所なども確保すると、リフレッシュして仕事に臨むことができます。
福利厚生の拡充
適切なワークライフバランスを実現するために、福利厚生を充実させることも健康管理にプラスになる場合があります。住宅手当や社宅・寮などを提供すれば、通勤時間の短縮や食生活を豊かにするコストが生まれるかもしれません。食生活を豊かにするために、社員食堂やお弁当の提供などで、栄養バランスを整えることもできます。さらにスポーツジムの利用を優待するなども、健康維持に効果的な方法です。
研修の実施
定期的に、従業員の健康意識改善を目的とした研修の実施も有効です。
外部から専門家を呼ぶことで、参加意識を向上させるケースもあります。受講の際に特典をつけるなどで、積極参加を促すのもいいでしょう。従業員が参加したくなる仕掛けを検討してみてください。
相談窓口の設置
安心して健康に関する相談ができる窓口を設置してください。健康に関する悩みは他者に知られたくない場合も多く、かつ専門的な相談が来る場合も考えられます。保健師などの専門スタッフと連携して、プライバシーを重視した相談しやすい窓口を設置しましょう。相談窓口の存在は、特にメンタル不調の重症化を防ぐうえで有効です。
「予防医療」も活用する時代に
これまで紹介してきましたように、企業にとって「従業員の健康」は、非常に重要な課題であり、「健康管理対策」はコストではなく投資となります。だからこそ、「予防医療」を取り入れる企業が出てきているのです。
通常の医療は疾患を発症してから治療をはじめますが、「予防医療」はそもそも疾患を発症しないように対策を行うことです。
予防医療には、大きく3つの段階があります。
健康な時期から始める生活習慣改善の「一次予防」、健康診断などにより疾患の発症を早期発見する「二次予防」、疾患を発症してもリハビリテーションを行うことで社会復帰できる機能を回復する「三次予防」です。
【一次予防】
栄養管理や運動などにより、生活習慣を改善することで健康をめざします。
【二次予防】
健康診断などの定期的なチェックにより疾患を早期発見し、早期治療を行うことで疾患の重症化を防ぎます。
【三次予防】
長期疾患になったとしても、治療していく中でリハビリテーションを行うことで、身体機能の低下を防いだり、疾患の再発を予防したりします。
高血圧や糖尿病といった生活習慣病は、食生活や運動、飲酒や喫煙などの生活習慣が要因となり得る疾患のことです。がんや心疾患や脳血管疾患といった、日本人の死因の上位となる疾患の多くは生活習慣病なのです。つまり予防医療によって生活習慣病が予防できれば、死因の上位を占める疾患も対策できるのです。
定期的に健康診断を受けて、早期発見・早期治療をめざす二次予防を行うことも予防医療のひとつとなります。企業がしっかりと従業員の健康を管理する理由が見えてきたのではないでしょうか。
従業員一人ひとりのオリジナルの“健康ロードマップ”づくりを
これまで、「健康経営」と「予防医療」について説明してきました。
企業にとっては、従業員の健康管理は「コスト」ではなく「投資」という考え方に変わっており、疾患を早期発見・早期治療するための「予防医療」を実践することが大切であることが、お分かりいただけたのではないかと思います。
従業員はそれぞれ健康事情が異なるため、これからの「健康経営」は、従業員一人ひとりのオリジナルの“健康ロードマップ”づくりが必要となります。
そこで活用していただきたいのが、遺伝子検査サービス「Genovision Dock®」です。
「Genovision Dock®」は遺伝子検査により、90もの「将来の疾患の発症リスク」や「体質のリスク」がわかり、日本人の多くを苦しめる疾患に対しての「予防」対策をとることができます。検査を実施した人の約60%が受検をきっかけに「行動を変えようと思うようになった」、半数の方が「バイタルデータを意識するようになった」と回答しているため、健康に対する意識改革にも効果が期待できます。(当社調べ)
当社の遺伝子検査サービス「Genovision Dock®」の検査結果レポート例
企業が「Genovision Dock®」を活用する際には、以下のようなメリットがあります。
■自社の健康経営の正しい課題や最適なアプローチ法がわかる
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また「Genovision Dock®」では、一人ひとりの将来の疾患リスクをふまえたパーソナルな指導を行います。従来の特定保健指導よりも、個人に最適化された改善行動につなげることができます。さらに健康診断で「異常なし」判定の人から、将来生活習慣病にかかるリスクが高い人を抽出して生活習慣病予防指導を行いますので、従来の健康指導よりも若年層を含めたより広い層の予防を促すことができます。
「Genovision Dock®」は、従業員の方々を共に長く働く大切なパートナーとして、健康を長期的に守りたいと考える企業のみなさまの想いを形にした、健康経営サポートサービスです。従業員一人ひとりの健康と、企業の健康経営に長期的なビジョンのために、活用をご検討ください。
当社の遺伝子検査サービス「Genovision Dock®」の詳細はこちら。
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