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遺伝子レベルのデータから 選手別のプログラムを開発。スポーツ支援を起点に 人々の健康な暮らしに貢献

公開日: 2024.03.19

スポーツ分野

遺伝子レベルのデータから 選手別のプログラムを開発。スポーツ支援を起点に 人々の健康な暮らしに貢献

3月11日(月)に「週刊ダイヤモンド」、「ダイヤモンド・オンライン」で掲載となったタイアップ記事、日本電信電話株式会社 工藤晶子取締役と順天堂大学スポーツ健康医学推進機構の鈴木大地機構長の『【特別対談】NTTグループ×順天堂大学 遺伝子レベルのデータから選手別のプログラムを開発、スポーツ支援を起点に人々の健康な暮らしに貢献』を転載します。


NTTグループと順天堂大学は、科学的データやその分析結果を活用し、アスリートおよびチームの強化、スポーツ外傷・障害の予防をめざすスポーツ支援サービス開発の共同研究を2023年より行っている。研究には大宮アルディージャVENTUS(ベントス)、浦安D-Rocksも参加。その狙いと成果について、日本電信電話の工藤晶子取締役執行役員と、順天堂大学スポーツ健康医科学推進機構の鈴木大地機構長に聞いた。

――NTTグループと順天堂大学は、2023年4月から「遺伝情報などを用いたスポーツ支援サービスの開発に関する共同研究」を実施しています。まずは共同研究に至った経緯についてお聞かせください。

<工藤>NTTグループは「データの活用」を社会に提案していくことを使命としています。そのためにさまざまな事業を展開していますが、スポーツの分野では、まだ十分な提案ができていないと感じています。当グループは膨大なデータを持っていますが、エビデンスベースの知見や分析手法が伴わなければ活用できません。そこで、スポーツに加え医学でも最先端を行く順天堂大学に共同研究をお願いしました。

<鈴木>順天堂大学は、医学とスポーツを中心とする大学であり研究機関ですが、今回共同研究を行うスポーツ遺伝学も得意とする分野の一つです。しかし、研究成果を社会実装することに関しては、まだ十分な経験を持っていません。その点、NTTグループは、研究から社会実装、サービス提供まで一貫して行っておられるので、パートナーとして非常に魅力的だと思いました。また、プロサッカーの大宮アルディージャVENTUSやラグビーの浦安D-Rocksを運営し、社会人スポーツやイベントへの協賛など、スポーツ振興に力を入れておられる点にも、当大学との親和性を感じました。

NTTグループが運営する、ラグビーの浦安D-Rocks

NTTグループが運営する、プロサッカーの大宮アルディージャVENTUS

競技力向上のために個別プログラムを開発

――具体的に、どのような研究を進めているのでしょうか。

<工藤>健康・医療、遺伝子検査などのビッグデータ解析を行っている当グループのNTTライフサイエンスが、これらのデータをスポーツや医学に有効に活用するための取り組みを順天堂大学と一緒に進めています。スポーツの世界にもたくさんのデータがありますが、実際に有効活用されているものはごくわずかしかありません。この取り組みでは、遺伝子タイプおよび選手の特性などのデータを把握し、仮説に基づく個人別のトレーニングプログラムを提供、その有効性について評価を行います。個人に最適化されたプログラムは、競技力の強化やスポーツ外傷・障害の予防、女性特有の課題の解決など、さまざまな活用方法が生まれるはずです。

<鈴木>アスリートとしての私自身の経験を振り返ると、競技力を高めるため「どこまで自分を追い込むか」ということと、けがをしないように「どこまで力をセーブするのか」ということのせめぎ合いでした。そうしたバランスの取り方を含め、勘や経験ではなく、エビデンスに裏付けられた個別プログラムの提供ができれば、スポーツ選手の競技力向上やスポーツ外傷・障害の予防に大いに寄与しそうですね。

<工藤>現在は、個別プログラムの開発に向けたデータ分析を進めているところです。その分析結果を基に効果的なプログラムを提案し、チームで活用してもらいます。もちろん、今までのやり方や考え方を否定するものではありませんので、チームや選手の意向に寄り添いつつ、実践と検証を進めていきます。

<鈴木>非常に楽しみですね。スポーツ選手にとって、けがなく、最大のパフォーマンスを発揮できるのは何よりのこと。さらに引退後も健康な人生を送れるのなら、言うことはありません。

<工藤>今回の共同研究の狙いは、まさにそこにあります。アスリートの競技力向上やスポーツ外傷・障害の予防が当面の目標ですが、NTTグループとしては、その先のヘルスケア領域、つまり人々の健康な暮らしを実現するデータ活用の方法を提案していきたいと考えているのです。その意味でも、スポーツと医学の両面で最先端の研究を行っている順天堂大学とコラボレーションできたことは、非常にありがたく感じています。

日本電信電話 研究開発マーケティング本部 アライアンス部門長 工藤晶子 取締役 執行役員 1990年に日本電信電話入社。広報室長などを経て、2023年6月より現職。スマートシティ有限責任事業組合 職務執行者
順天堂大学 スポーツ健康医科学推進機構 鈴木大地 機構長・教授 1988年ソウル五輪100m背泳ぎ金メダリスト。2015~20年、初代スポーツ庁長官を務める。世界水泳連盟理事、日本水泳連盟会長

食の領域においてもデータ活用に取り組む

――ところで、NTTグループは食の領域でもデータ活用の支援を行っているそうですね。

<工藤>農業エコシティの実現をめざすNTTアグリテクノロジー、サスティナブルな陸上養殖の実現をめざすNTTグリーン&フードなどの事業会社があります。 NTTグリーン&フードは魚の陸上養殖を軸としており、遺伝子などのデータ解析に基づく品種改良を通じて、おいしいだけではなく栄養価の高い魚介類を生産していきたいと考えています。アスリートの方々にとっても、より良い食がパフォーマンスや健康状態の改善に寄与すると思いますが、より広く、全ての方々に最適な食を提供していけるように取り組んでまいります。

――最後に、今後の連携について抱負をお聞かせください。

<鈴木>NTTグループとの連携をさらに強固にし、互いの強みを生かしながら、日本のスポーツと医学の発展に貢献していきます。ぜひご期待ください。

<工藤>データ活用は、何よりも結果を出すことが大事です。今後も共同研究を通じて、人々が健康で幸せな暮らしを送れるような結果を追求し続けます。